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多発性硬化症

multiple-sclerosis

多発性硬化症は、脳や脊髄において神経の軸索を取り巻いている髄鞘という部分が障害されることにより起こる疾患です。機序は自己免疫とされています。脱髄が起こると神経の軸索が障害され、神経症状が出現します。病変が生じる部位により症状は様々ですが、視力障害、運動麻痺、感覚麻痺、失調などがよくみられます。症状が良くなったり悪くなったりすることを繰り返すこと、及び病変部位が変化することがこの病気の特徴です。診断は臨床所見、脳脊髄液中のIgG、脳MRIなどで行われます。診断のための基準がありますが、臨床症状やMRI画像で、時間的、空間的に病変が多発することが診断の根拠とされています。治療にはステロイドホルモンなどの免疫を抑制する薬剤が用いられますが、最近再発予防の薬剤も開発されています。一部の症例では徐々に症状が進行していきますが、生命予後が著しく悪くなることはありません。

神経細胞は神経細胞体と、そこから長い枝を出す軸索から構成されています。軸索は髄鞘というもので取り巻かれていますが、この髄鞘が障害される疾患を脱髄疾患とよびます。脳や脊髄、視神経などの中枢神経系でこの脱髄病変が時間的にも空間的にも多発し、また寛解と再発を繰り返す疾患が多発性硬化症です。日本では多発性硬化症は難病に指定されており、有病率は人口10万人あたり8~9人とされています。多発性硬化症の頻度には人種差があり、欧米の白人では日本の10倍くらい多いのに対し、アフリカの原住民では日本よりもはるかに少ないことが知られています。多発性硬化症の好発年齢は20~30歳代で、男女比は1:2~3と女性に多い傾向があります。

多発性硬化症

​東京大学名誉教授 山下直秀

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