苦薬を甘いオブラートに包んで

「わがままが過ぎる」と世間に叩かれ、斬首刑でその生涯を終えた王妃マリーアントワネット。良くも悪くもアントワネットは世を動かすインフルエンサーだったのでしょう。
そんな彼女のおかげで私たちは今、熱く、芳醇な健康食品を口にできています。
今回、紹介するのは2017年に発表された日本の研究、44?76歳の男女84,597人を約13年間追跡、その食生活と循環器の疾患との相関性について調査しました。
結果、女性でチョコレートを多く食べる(平均37.5g /週)人は、食べない人に比べて、脳卒中になるリスクが16%低いことがわかりました。
チョコレートの成分、カカオ豆は抗酸化作用、血液の流れを促進するカカオポリフェノールを含んでいます。
チョコレートはカカオ豆を焙煎、すり潰したカカオマスから作られます。
お茶やコーヒーなどにもポリフェノールは含まれますが、飲むのはその抽出液です。一方カカオマスは濾すことなく丸のままなので、他よりポリフェノールの摂取量が高いと言えるのです。緑茶も抹茶がベターでしょう。
今、世界中はショコラで溢れています。諸説ありますが、これに一役買ったのが他でもないマリーアントワネット妃。残した数々の名言の中でも功績につながった言葉が、
「ココアは旅行に持っていけないから携帯できるように何とかして」です。
困った、宮廷料理人、王妃の薬嫌いに困っていた薬剤師はココアをメダル状の固形にし、それに薬を包んだそうです。チョコレートは、わがままの一声で誕生、その手軽さから世界中に爆発的に流行していったのです。
カカオ豆はマヤ文明に生まれ、もともと滋養強壮のために王に授けられていました。
大航海時代コロンブスが持ち帰り、薬としてココアドリンクは貴族の間に広まります。18世紀にインフルエンサー、アントワネットにより固形化。その後大英帝国のキャドバリーが多量のミルクと砂糖を加え、甘―い誘惑の中毒で世を翻弄し、虫歯の元、肥満の元と揶揄されました。それも一周、元来の薬としてのカカオの栄養が見直され始めました。
チョコを苦い薬から魅惑のスイーツへ革変させた王妃のわがままに感謝。でも、彼女は言うでしょう「ただ、自分のため」と。世を救うカリスマは我がのために尽力、その道すがら世は発展、救われているのかもしれません。
参照:
DOI: 10.1016/j.atherosclerosis.2017.03.004
小瀧なつき
村松正明

