頭のケガから、パーキンソン病!?

脳は感情や記憶のほかに、体や臓器の働きの調節などもおこなっています。脳に障害があるとあらゆる身体の不調が起こる可能性がありますが、今回は脳の損傷とパーキンソン病との関連性を調査した報告をご紹介します。
アメリカで退役軍人325,870人を平均4年間追跡調査したところ、外傷性脳損傷のあるグループは、そうでないグループよりもパーキンソン病になるリスクが1.71倍高いことがわかりました。
外傷性脳損傷とは、転落や転倒により頭部に強い力が加わり、脳の組織に影響を受けることを示します。
パーキンソン病は、脳の神経伝達物質の1つであるドパミンの減少により、体の震えや筋肉がこわばりやすくなる疾患です。
主な治療は、薬によりドパミンの補充やドパミンの働きの補助を行います。根本的に完治させる治療法はまだありません。症状が進行してしまうと車いすや寝たきり生活に向かってしまうので、症状の進行を抑えて日常生活を維持するためには薬を続ける必要があります。
パーキンソン病はリスク因子などまだ詳しくわかっていないことの多い疾患ですが、脳内ではドパミン低下に加え、シヌクレインというたんぱく質が蓄積することがわかっています。
また外傷性脳損傷を受けた人は、このシヌクレインが蓄積するという報告や、外傷後にパーキンソン病のような身体の震えや筋肉のこわばりが起こることがあるという報告もあります。脳損傷とパーキンソン病との関連性は徐々に裏付けられつつあるようです。
頭部をぶつけてしまったり打ったりしてしまうことはもちろんですが、頭を強く揺さぶられることでも脳は損傷する可能性があるので注意が必要です。
スポーツ、車や自転車の運転、赤ちゃんの揺さぶり時など、日常生活でも外傷性脳損傷を受ける可能性はあります。事前に予防できる対策はしっかり行っておきましょう。
参照:
DOI: 10.1212/WNL.0000000000005522
田口里奈
村松正明

