除草剤使用と癌のリスク

農作物をはじめ家庭菜園やガーデニングでも使用されることのある除草剤ですが、除草剤使用者と癌のリスクについて調査した報告をご紹介します。
アメリカで男女49,685人を追跡調査したところ、除草剤のアラクロールを使用しているグループは、使用していないグループよりも喉頭がんのリスクが最大で7.1倍高いことがわかりました。
除草剤は農薬の1つで、農作物の生育を妨害する雑草を防除する薬剤です。
アラクロールは、アメリカではトウモロコシや大豆などを栽培する際に使用されています。日本では「ラッソー」という商品名で知られており、キャベツ、大根、ブロッコリー、梨、ブドウ、イチゴなど様々な野菜や果物で認可されています。
栽培の際に使用された除草剤が農作物に残ったものを「残留農薬」といいますが、人の健康に影響を及ぼさない「残留農薬基準値」が国で定められているため、認可されている農薬を適切な量や方法で使用した農作物は、消費者にとっては悪影響はないとされています。輸入農作物についても、残留農薬は定期的に検査されています。
今回の研究で咽頭がんとの関係性が示唆されたのは、除草剤を実際に取り扱う人でした。
咽頭がんとは、鼻腔の奥から食道の入り口までの部位に発生する癌です。
咽頭がんの初期症状としては、物を飲み込むときの違和感、喉の痛み、喉からの出血、口の開けにくさ、舌の動かしにくさなどです。風邪に似た症状が続くこともあります。
一般的なリスク因子は、喫煙・飲酒です。特に喫煙はリスクが高いとされています。
また子宮頸がんのリスクとして知られているヒトパピローマウイルス(HPV)が咽頭がんのリスクにもつながるということもわかっています。
今回の研究では、除草剤のアラクロールの使用によっても咽頭がんのリスクが上がるという結果でした。
今回のように、すでに市場に出回っている農薬や添加物などでも有害であることが後々発見される場合もあります。今回ご紹介した内容は、アラクロールが発がん性を持つ可能性を示唆した最初の疫学論文で、さらなる調査が必要であるとしています。
最新の情報、正確な情報を取り入れて、健康知識も日々アップデートしていきましょう。
参照:
DOI: 10.1093/jnci/djy005
田口里奈
村松正明

