遺伝だけじゃない、膵がんのリスク

「がん」は遺伝や食生活などが原因と思われがちですが、薬もがんのリスクを上げる可能性があるという報告をご紹介します。
日本で40~69歳の女性45,617人を平均約18.4年追跡調査したところ、女性ホルモン剤を使用しているグループは、そうでないグループよりも膵がんになるリスクが1.47倍高いことがわかりました。
膵臓は、食べ物の消化に関わる膵液という消化酵素や、血糖値を調節するためのインスリンというホルモンを作り出している臓器です。
膵がんの発症初期は自覚症状が現れにくいため、発見が遅れて進行が進みやすい癌の1つです。また膵臓は胃の後ろ側に位置しているので超音波検査でも発見されにくく、一般的な内視鏡検査ができない部位なので膵がんの早期発見は難しいといわれています。
膵がんのリスク因子としては、糖尿病、肥満、喫煙、飲酒、家族歴などが考えられています。今回の研究では女性ホルモン剤の使用も膵がんのリスクに関連性があるという結果でした。
45~55歳頃の女性は女性ホルモンが低下する「更年期」を迎えます。この時期の急激なホルモン分泌の低下が原因となり「更年期症状」が引き起こされやすくなります。
更年期症状は、ほてり、のぼせ、めまい、動悸、肩こりなど人によって様々で、症状の度合いも個人差が大きいのが特徴です。日常生活に支障をきたすほどの症状が現れている状態は「更年期障害」といわれます。
この更年期症状は、ホルモン剤投与によって低下したホルモンを補うことで、緩和される可能性があります。日本でもホルモン剤を使用する方は増えていますが、海外の先進国に比べるとその割合はまだ低い傾向にあります。
辛い症状が緩和されるメリットはありますが、今回の調査報告のように女性ホルモン剤によるリスクも報告されています。薬のリスクや副作用も十分に理解、納得した上で、自身の症状に応じて医師と相談し使用するようにしましょう。
参照:
DOI: 10.1097/CEJ.0000000000000358
田口里奈
村松正明

