夜遅い食事が招くがんリスク

「あ、もうこんな時間!」仕事や勉強で夜遅くなり、慌てて夕食を摂る経験は誰にでもあるのではないでしょうか。私自身、仕事や家事に追われる日は、夜10時過ぎの夕食になってしまうこともありました。でも、そんな生活習慣が私たちの健康に大きな影響を与えているかもしれないことが、2018年の研究でわかってきました。
スペインで2008年から2013年にかけて行われた大規模な研究では、夜勤務をしたことのない男女約4,000人(前立腺がん患者621名、乳がん患者1,205名と、がんではない男性872名、女性1,321名)の生活習慣を比較しました。
この研究で特に注目すべき発見は、夕食後すぐに就寝する人と比べて、夕食から就寝までに2時間以上空ける人は、がん全体のリスクが20%も低かったということです。詳しく見ていくと、前立腺がんでは26%のリスク低下が確認されました(OR=0.74, 95%CI 0.55-0.99)。乳がんでも同様の傾向が見られましたが(OR=0.84, 95%CI 0.67-1.06)、統計的な有意差は確認されませんでした。さらに、夜10時以降に夕食を取る人と比べて、夜9時前に夕食を済ませる人の方が、がんになるリスクが低いことも分かりました。
特に興味深いのは、世界がん研究基金(WCRF)とアメリカがん研究協会(AICR)が推奨するがん予防の生活習慣(WCRF/AICRスコア)を実践している人々において、この効果がより顕著に表れたことです。これらの推奨事項をよく守っている人々の間では、夕食と就寝の間隔を十分にとることで、がんリスクが35%も低下しました(OR=0.65)。また、朝型の生活リズムの人々では、34%のリスク低下が見られました(OR=0.66)。WCRF/AICRスコアとは、がんを予防するための生活習慣の実践度を評価する指標で、体重や運動、食習慣などが評価されます。健康的生活習慣は組み合わさることでより効果的になるんですね。
今回の研究結果から、私たちはどのような生活習慣に気をつけるべきでしょう。一つは、夕食は寝る2時間前までに遅くとも午後9時までに済ませることが大切です。そして食習慣や運動も含めた、生活習慣全体の見直しができると理想的でしょう。
今日から、夕食の時間を少し早めてみませんか?健康的な生活は、そんな小さな一歩から始まります。
参照:
DOI:?10.1002/ijc.31649
八木裕太
村松正明

