通話の仕方を変えて脳腫瘍を予防?

携帯電話を持つことが当たり前になって数十年経ちます。気軽に通話やネットを楽しめるようになり、1日のうち何時間も携帯電話を使用している方は多いのではないでしょうか?ただし技術の発展に伴い、体への悪影響も出てきている可能性があるようです。携帯電話と脳腫瘍の関係性を調査した論文をご紹介します。
2つの追跡調査した研究と、16のさかのぼって調査した研究をメタ解析したところ、10年以上携帯電話を使い続けたグループは、そうでないグループよりも携帯電話を使った同側の神経膠腫のリスクが2倍、聴神経鞘腫リスクが2.4倍高いことがわかりました。
神経膠腫とは、脳内に存在する神経膠細胞から発生する悪性の脳腫瘍の1つです。
症状は、脳の機能障害による麻痺や失語、視野欠損症状などが現れます。さらにこれらの症状に加え、腫瘍による頭蓋骨内の圧力上昇に伴う頭痛、吐き気、かすみ目なども現れやすくなります。
神経膠腫はゆっくりと進行していく特徴があるので、初期の自覚症状は軽度の頭痛といわれています。様々な症状が出始めた時には脳のかなり広範囲に腫瘍が広がってしまっている可能性もありますので、手術による摘出が難しくなる場合もあります。
一方で聴神経鞘腫とは、聴神経に発生する腫瘍です。
耳鳴り、難聴、めまい等の症状が現れますが、こちらは良性である場合が多いといわれています。放射線や手術をする治療法もありますが、良性腫瘍のため経過観察となるケースもあります。
神経膠腫、聴神経鞘腫は共にまだはっきりした原因についてはわかっていませんが、今回の調査では携帯電話との関連性が示唆されました。
携帯電話から発生する電磁波が私たちの身体へ影響を及ぼす可能性が考えられますが、現代社会において携帯電話の使用を避けるのは難しいでしょう。
今回の研究では、携帯電話を同じ耳で使用を続けていることで神経膠腫、聴神経鞘腫のリスクが上がるという結果でした。「通話は右耳でも左耳でも行うようにする」というちょっとしたことでもリスク低下につながります。日常生活でできる小さなことから始め、将来の重病リスクを予防しましょう。
参照:
DOI: 10.1136/oem.2006.029751
田口里奈
村松正明

