目標設定と行動で、認知症予防

生まれ持った遺伝子により認知症を発症しやすい人は存在しますが、そのような方でも普段の生活のある行動において発症リスクを軽減できる可能性があるようです。
ドイツで75~89歳の認知症状のない3,327人を3年間追跡調査したところ、アルツハイマー型認知症の発症リスクの高いApoE遺伝子ε4キャリアにおいて、目標設定してやり抜く「動機付け能力」のあるグループは、そうでないグループと比べてアルツハイマー型認知症になるリスクが52%低いことがわかりました。
アルツハイマー型認知症発症のリスク因子として考えられているのは加齢のほか、生活習慣などの環境因子、また遺伝因子です。これらの要因から、脳内にアミロイドベータというたんぱく質が蓄積することで、アルツハイマー型認知症が発症しやすくなることがわかっています。
アルツハイマー型認知症と関連性があるとされる遺伝子の1つが、ApoE遺伝子です。ApoEはアミロイドベータの蓄積に関与する遺伝子で、6種類の遺伝子型が存在します。そのうちε4を持っている人(ε4キャリア)は他の遺伝子型に比べてアルツハイマー型認知症の発症リスクが約3~12倍高いことがわかっています。
今回の調査では、このε4キャリアにおいて、動機付け能力のある人はアルツハイマー型認知症の発症リスクが下がるという結果でした。
動機付け能力とは目的や目標のために行動を起こして持続する心理的な過程や能力です。
遺伝子検査においてε4キャリアと判明した場合は、この動機付け能力を高めることで、認知症リスクが軽減できる可能性が考えられます。
認知症は生まれ持った遺伝子により発症しやすい人は存在しますが、普段の生活における環境要因も認知症の発症に関与しています。家族歴や遺伝子検査により認知症発症リスクが高いとされている方は特に、今回の「動機付け能力」のように普段から発症予防のためにできることはしっかり行っておきましょう。
参照:
DOI: 10.1037/a0025117
田口里奈
村松正明

