抗コレステロール薬で膵がん対策

薬の効果は1つだけだと思われがちですが、複数の効果が期待できる可能性のある薬も存在します。今回は、コレステロールを下げるための薬が、がんのリスクも下げる可能性があるという報告のご紹介です。
韓国で、膵管腺がんと診断された患者827人と、そうではない人4,135人をさかのぼって比較調査したところ、スタチン系薬を使用していたグループは使用していないグループより膵管腺がんになるリスクが約30%低いことがわかりました。
スタチン系薬とは肝臓でのコレステロール生成を抑制する薬で、血液検査で脂質異常症と診断された方へ処方される薬です。
血中のコレステロール値が高いと血管が詰まりやすくなり、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞のリスクが高くなってしまうので、血中の値を基準値内へ下げておく必要があります。スタチン系薬はコレステロールの中でも悪玉コレステロールとも呼ばれるLDLコレステロールを低下させる効果のある薬です。
一方で膵管腺がんとは、膵臓の膵管に発生する腺癌と呼ばれる種類の癌です。
初期症状には腹痛、食欲不振、お腹の張る感じ等が起こり、ここから血液検査、超音波検査、腹部MRI検査、内視鏡検査、細胞診検査などによって「膵管腺がん」と特定されていきます。早期発見が難しい癌の1つなので、膵がんと気づいた頃には症状が進行してしまっている可能性もありますし、進行が進むと他の臓器へ転移の可能性も高くなります。
今回の報告では、コレステロールを下げるスタチン系薬によって、膵管腺がんのリスクが下がるという結果でした。
薬も癌も、まだ研究が続けられている分野はたくさんあります。スタチン系薬が膵管腺がん予防として処方されることはありませんが、脂質異常症のためにスタチン系薬が処方されれば、飲み忘れずに指示通りの服用を続けるようにしましょう。
参照:
DOI: 10.1002/cam4.2617
田口里奈
村松正明

