心不全
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心不全とは、心臓の機能が低下することにより、体動時に息切れが出現したり体に浮腫が生じる状態です。心不全の分類には、進行病期(ステージ)による分類や、自覚症状によるNYHA心機能分類があります。日本における死亡原因の1番目は悪性腫瘍、2番目は心疾患ですが、心疾患の中で心不全による死亡者数が最も多いとされています。心不全には種々の原因があり、虚血性心疾患、高血圧性心疾患、心臓弁膜症、心筋症、心筋炎、先天性心疾患、肺疾患、不整脈、貧血、甲状腺機能亢進症、睡眠時無呼吸症候群などがあげられます。また、遺伝的要因も考えられています。心不全には、右心不全と左心不全がありますが、右心不全では浮腫、肝臓の腫大、腹部膨満、食欲低下、夜間尿などが生じます。左心不全では、倦怠感、易疲労感、体動時の息切れ、咳などの症状が出現します。診断には、血液・尿検査、胸部レントゲン検査、心電図、心臓超音波検査などが行われます。血液検査ではナトリウム利尿ペプチド(BNP)やNT-proBNPが測定されます。また必要に応じて他の検査も追加されます。心不全でうっ血がある場合は利尿薬が投与されます。食事中の塩分の制限も重要です。左室の収縮力が低下している心不全では、ACE阻害薬、ARB、ARNI、β遮断薬、MRA、SGLT2阻害薬が用いられます。左室の収縮力が保たれている心不全では、基礎疾患のコントロールとともに、利尿薬やSGLT2阻害薬が使用されます。心不全の5年生存率は心不全全体で50%程度とされていますが、個々人で異なり、またステージが進行すると予後が悪化していきます。心不全の予防には、基礎疾患の治療や生活習慣の改善が重要です。生活上の注意としては、塩分・水分の制限、禁煙、過度の飲酒・過労・ストレス・不眠の回避などがあげられます。
心不全とは、心臓の機能が低下することにより、体動時に息切れが出現したり体に浮腫(むくみ)が生じる状態です。心不全を放置すると生命に危機が及ぶことがあるので、早期に見いだして適切に治療することが大切です。心不全の進行状態を把握するために、進行病期(ステージ)による分類がなされています(ステージA~D)。この進行病期ステージに加え、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)が作成した自覚症状に基づくNYHA心機能分類もよく用いられます。
心不全の原因疾患は多岐にわたりますが、それぞれの病態をもとに予防や治療を行うことにより進行を制御することができます。日本における死亡原因の1番目は悪性腫瘍、2番目は心疾患ですが、心疾患の中で心不全による死亡者数が最も多いとされています。
東京大学名誉教授 山下直秀
