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肝がん(B型肝炎ウイルス)

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B型肝炎ウイルス(HBV)の感染が持続して慢性化すると、慢性肝炎から肝硬変へと進行します。これらの状態から肝がんが発生することがあります。HBVの持続感染の多くは、HBV陽性の母親から児が出産時に感染することにより生じます。慢性肝炎の初期までは無症状のことが多いのですが、肝硬変に進行すると易疲労性、腹水、黄疸、食道静脈瘤からの出血、意識障害などの症状が出現します。肝がんが発症すると腹痛、腹部腫瘤などの症状が出ます。診断のために腹部超音波検査、CT、MRIなどの画像検査が実施されます。治療としてはラジオ波、動脈塞栓術、手術などが行われます。慢性B型肝炎の状態で体内のHBVを完全に排除することは困難ですが、抗ウイルス療法は肝がん発症リスクを軽減します。HBVによる肝がんは肝硬変になる前に出現することがあるので、定期的な画像診断が必要です。HBVの感染予防にはワクチン接種があります。

肝炎ウイルスには、A、B、C、D、E型などがありますが、A型、E型ウイルスは経口感染し、B型、C型、D型ウイルスは主に血液を介して感染します。B型肝炎ウイルス(HBV)は思春期を過ぎてから感染した際は、ほとんどの場合慢性化することなくHBVは血液の中から排除され一時的な感染で終結します。しかしながら、出産時(母児感染)あるいは幼少時期に感染すると90%以上のケースでHBVは完全に排除されずに感染が持続します。また成人でも免疫機能が低下した状態などでは感染後HBVが排除されないことがあります。この状態がB型慢性肝炎で、「6ヶ月以上の肝機能検査値の異常とHBV感染が持続している状態」と定義されます。HBVの持続感染者は日本では人口の約1%、世界では3億5千万人から4億人程度存在するとされています。HBVの持続感染者の約10~15%の患者では経過中にセロコンバージョン(後述)という状態とならずにB型慢性肝炎となり、その後肝硬変へと進行します。B型肝炎ウイルスの場合、肝硬変だけでなく慢性肝炎の状態から肝がんが発症することがあります。

肝がん(B型肝炎ウイルス)

​東京大学名誉教授 山下直秀

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