top of page
咽頭がん(上咽頭がん)
nasopharyngeal-cancer
上咽頭がんは鼻腔の奥に発生するがんで、アジア人に頻度が高いと報告されています。危険因子としてアジア系人種、エプシュタイン・バール(EB)ウイルスの感染、アルコールの過剰摂取などがあげられています。初期には無症状ですが、進行すると鼻の症状として鼻出血、鼻汁、鼻づまり、耳の症状として耳閉感、耳鳴り、耳の痛み、難聴などが出現します。診断は内視鏡検査と生検、CT等の画像検査により行われます。血液検査ではEBウイルスの抗体価も調べます。上咽頭がんは手術が困難な場所にありますが、放射線感受性がよく、また化学療法が効きやすいため、病期に応じてこれらの治療が選択されます。また、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬も使用されることがあります。上咽頭がんは早期に発見して治療すれば予後は比較的良好です。喫煙、過度の飲酒、ホルムアルデヒドへの暴露を避けることが予防につながります。
上咽頭は、鼻腔の奥に存在する、のどの上部のことを指します。上咽頭の下に中咽頭、下咽頭があり、咽頭全体は空気や食物の通過する場所となっています。上咽頭がんは、この咽頭の構造のなかで上咽頭に発生するがんです。上咽頭には中耳とつながる耳管が開口しているので、上咽頭がんになると鼻だけでなく耳の症状も出現します。上咽頭がんは中国南部、台湾、シンガポールなど東アジアに多いのですが、日本での罹患率は人口10万人あたり0.2~0.3人程度と、あまり頻度が高くありません。男性に多く、中年以降に頻度が高いのですが、若年者にも発症します。また上咽頭がんの発症にはエプシュタイン・バール(EB)ウイルスが関係していると考えられています。

東京大学名誉教授 山下直秀
bottom of page
