クレアチニン
クレアチニンは、筋肉が使われるときにできる老廃物で、腎臓から尿へ排出されます。血液中に増えているということは、腎臓の処理が追いついていないことを意味します。この値と年齢・性別から計算したものがeGFR(推算糸球体濾過量)です。腎臓の機能は一度低下すると戻りにくく、しかも症状が出るのはかなり進んでからです。健診の数値が唯一の手がかりになることが少なくありません。なお筋肉量の影響を受けるため、体格が極端な場合は解釈に注意が必要です。
疾患との関連
クレアチニン(Cr)は、筋肉から産生される成分であり、血中を流れた後に一定量が腎臓でろ過されて尿として排泄されます。このため、血中のクレアチニン高値は腎機能の低下を反映する指標の1つです。近年問題になっている慢性腎臓病(CKD)や糖尿病、高血圧など他の疾患による腎障害は、腎機能の廃絶による人工透析や、心筋梗塞や脳卒中などの脳心血管疾患のリスクが高まります。クレアチニンは筋肉量によって個人差があるため、基準値に男女差があります。(男性:1.0mg/dL以下、女性:0.7mg/dL以下)また、小児や高齢者では低くなる傾向にあります。短期間で急激に数値が上昇するなど悪化する場合は急性・慢性腎不全の悪化の可能性があり、腎臓内科専門医への受診が必 要です。数値が高い場合には、脱水や塩分・たんぱく質の過剰摂取、過度な運動、服用しているお薬などの影響を受けている可能性があります。また、腎機能低下に加えて高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などがあると、腎障害や血管の動脈硬化がさらに加速するリスクが高まります。現状のクレアチニンやeGFRなど目指すべき数値の範囲を把握し、生活習慣の見直しや適切な管理が必要になります。
望ましい生活習慣
腎機能を悪化させる原因として多いものが高血圧と糖尿病です。クレアチニン値が高い場合には、塩分・たんぱく質の過剰摂取などの食生活の影響がありますが、それ以外にも脱水や過度な運動の影響があります。減塩(高血圧予防を目的とする1日6g未満)を基本に、ステージに応じた適切な量のたんぱく質を摂取し、エネルギー不足にならない食事を意識し、カリウムやリンの取り過ぎに注意しましょう。
増田大作 Daisaku Masuda, MD, PhD
コラム
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PGSについて
デンマーク第2の都市オーフスにあるオーフス大学を中心とする研究チームは、英国在住の約39万人の個人データを用いて、ゲノム配列情報から245種類の臨床検査値の遺伝的素因を予測するモデルを開発しました。学習データには欧州系の祖先を持つ参加者のみを用い、これらのモデルが他の祖先的背景を持つ人々の検査値をどの程度予測できるかが検証されました。肝機能指標であるAST、ALT、γ-GTPおよび腎機能指標であるクレアチニンに関しては、学習データと祖先背景が一致する欧州系集団において最も高い予測精度を示しましたが、アジア系集団においても比較的高い精度で予測可能であることが明らかになりました。これらのモデルにおいて用いられたゲノム多型の数は、ASTが約3.3万カ所、ALTが約77.4万カ所、γ-GTPが約7.6万カ所、クレアチニンが約7.7万カ所でした。
Privé F et al., Am J Hum Genet; doi: 10.1016/j.ajhg.2021.11.008.
八谷剛史
