脂質異常症
dyslipidemia
脂質異常症は、血中のHDLコレステロールの低値、LDLコレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)、あるいはnon-HDLコレステロールの高値などがみられる状態です。脂質異常症では動脈硬化がおこりやすくなり、虚血性心疾患、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症などの血管に関する疾患のリスクが上昇します。脂質異常症には、遺伝要因による原発性脂質異常症、他の疾患に伴って生じる続発性脂質異常症、及び生活習慣によって生じる脂質異常症があります。生活習慣によるものとしては、不適切な食事、肥満、アルコール多飲、運動不足、喫煙があげられます。動脈硬化が進行すると、血管の病気以外に脂肪肝や急性膵炎(中性脂肪高値の場合)もおきることがあります。脂質異常症の診断のために診断基準が定められています。治療としてはまず食事と生活習慣の改善が行われます。食事療法としては飽和脂肪酸・トランス脂肪酸・コレステロールを多く含む食品の制限、食物繊維やオメガ6(n-6)系脂肪酸・オメガ3(n-3)系脂肪酸の摂取があげられます。生活習慣としては、肥満やアルコール多飲の回避、禁煙、適度な運動が勧められます。これらでも改善されない場合は薬物治療が行われます。脂質異常症は適切に治療すれば予後は良好ですが、放置すると動脈硬化による疾患などで寿命の短縮やQOLの低下がおきます。予防には食事や生活習慣の見直しが重要です。
一般的な血液検査では血中の脂質として、総コレステロール、HDL(善玉)コレステロール、LDL(悪玉)コレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)、non-HDLコレステロール(総コレステロール値からHDLコレステロールを引いた値)が測定されますが、これらの脂質の値が正常値の範囲外になった状態を脂質異常症といいます。特にHDLコレステロールの値が低くなる場合、あるいはLDLコレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)、non-HDLコレステロールの値が高くなる場合が問題となります。脂質異常症では動脈硬化がおこりやすくなり、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症、動脈瘤といった血管に関する疾患などのリスクが上昇します。
厚生労働省の2017年度の調査では、治療中の脂質異常症の総患者数は220万程度、男性63万9,000人、女性156万5,000人と推測されています。脂質異常症の患者数は年々増加しています。

東京大学名誉教授 山下直秀
