胃がん
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胃がんは日本でのがんの死亡原因の第3位です。危険因子には、ヘリコバクター・ピロリ菌、食物、喫煙、遺伝的素因などがありますが、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が重要視されています。初期には多くは無症状ですが、胸焼け、不快感などの症状が出ることがあります。進行すると吐血、食欲不振、体重減少などの症状が出現します。診断には内視鏡検査が重要で、生検により病理診断が行われます。治療は進行度によって、手術、放射線療法、化学療法が選択され、免疫チェックポイント阻害剤も用いられます。進行した胃がんの予後はよくありませんが、早期の胃がんの予後は良好です。そのため早期発見が大切です。ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌により胃がんのリスクが軽減されます。その他、禁煙、塩分摂取の制限、緑黄色野菜の摂取などが予防によいと提唱されています。
胃は嚥下した食物を貯蔵し、胃液を食物と混合して一部を消化し、そのあと十二指腸に送り出す臓器です。胃の粘膜からは胃酸、粘液、ペプシノーゲンが分泌されます。胃酸は外から侵入した細菌を殺す働きがあり、粘液は胃壁を酸から保護します。またペプシノーゲンは胃酸によりタンパク質を分解する酵素となります。この胃粘膜から発生するがんが胃がんです。日本人での胃がんの発生頻度は高く、以前はがんの死亡原因のトップでした。現在は男性では肺がんが死亡原因の第1位で胃がんは第3位です。女性では死亡原因の第1位は大腸がんで、胃がんは第5位です。早期発見・早期治療で胃がんの死亡率は低くなってきています。また、罹患率は徐々に低下しています。
スキルス胃がんと呼称される胃がんは亜型の一つで、胃の壁が硬くなることから硬性がんともよばれています(スキルスは硬いという意味です)。胃がんの数%から10%程度がスキルス胃がんであるとされています。スキルス胃がんは他の胃がんのように胃粘膜の表面には拡がらずに、胃の内部に浸潤するように拡がります。そのため胃の内視鏡で発見しにくいことがあります。スキルス胃がんは胃がんの中でも予後が悪く、比較的若い年齢でも発症することがあり、また女性に多い傾向があります。
これまで胃がんは単一のがんとされてきましたが、最近発生部位により胃がんを噴門がん(胃の上部のがん)と非噴門部がん(胃の上部以外のがん)とに区別するようになっています。

東京大学名誉教授 山下直秀
