アルツハイマー病
alzheimers-disease
アルツハイマー病は認知機能の低下と人格変化を来す疾患で、最近頻度が増加しています。アルツハイマー病では、まず脳の海馬の脳神経細胞の数が減少して萎縮がおこります。それに続いて脳の他の部分に同様の変化が生じます。原因としては遺伝要因と環境要因の両者が考えられています。また加齢も発症のリスクとなります。アルツハイマー病には家族性と非家族性があり、非家族性の一部ではAPOE(アポ・イー)という遺伝子が発症に関連しているとされています。最近のことをすぐ忘れる というのが初期症状で、進行すると外出後帰宅できない、お金の計算ができない、家族や友達を認識できない、などの他の認知機能も障害されます。診断は臨床症状及び脳MRI、脳血流シンチグラムなどの画像検査で行われます。症状を軽くする薬剤が治療に用いられており、症例によっては効果がある可能性があります。予防には、日頃頭を使う、適度な運動を行うなどがあげられます。
アルツハイマー病は記憶、計算、認識などの知的機能(これらを認知機能といいます)の低下と人格の変化を来す疾患で、認知機能が障害される病気の中では最も頻度が高いものです。アルツハイマー病の初期には、ごく最近のことを覚えていない、物忘れをしてしまう、という症状が出現します。徐々にこれらの症状が進行し、さらには作話(自分で勝手に話を作ってしまう)、判断力の低下、思考力の低下、論理的思考の欠如などがおこり、外に出たあと家に帰れなくなる、などの障害がみられるようになります。アルツハイマー病での脳内の変化についてですが、まず記憶にとって重要とされる脳の側頭葉の「海馬」という場所に障害が現れます。海馬を調べると、この部分の脳神経細胞の数が減少して萎縮がおこります。それに続いて脳の他の部分の神経細胞の数も減少し、萎縮は脳全体に及びます。アルツハイマー病を発症する年齢は一般的に40歳以降ですが、頻度が高いのは65歳以上です。男女比は1対2で女性に多くみられます。2020年度に65歳以上では16.7%に認知症が存在すると報告されていますが、その中で約60~70%がアルツハイマー病、約15~20%が脳梗塞や脳出血などに由来する脳血管障害による認知症で、その他レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがあります。最近アルツハイマー病の割合が増加しており、厚生労働省の患者調査によると、アルツハイマー病の総患者数は1999年には約3万人でしたが、2020年には300万人以上となり、今後さらに増加していくと推定されています。
東京大学名誉教授 山下直秀
