肥満
obesity
体に脂肪組織が過剰になった状態が肥満です。指標としてBMI(体重(kg)÷身長(m)の二乗)が用いられ、25以上が肥満と定義されます。親が肥満の場合、子供も肥満する場合が多いのですが、食生活や生活習慣の類似以外に遺伝的素因も関与している可能性があります。特にある遺伝子の一部の型では消費エネルギーが少ないことが明らかになっています。肥満に糖尿病、高血圧、高脂血症などが合併した状態を肥満症といい、積極的な減量が必要になります。内臓脂肪症候群(メタボリック症候群)とよばれる状態では狭心症、 心筋梗塞、脳梗塞のリスクが高くなります。消費するエネルギー以上のカロリーを摂取することで肥満がおこるため、是正には食事療法が重要となり、運動も必要になります。予防には適切なエネルギー摂取(標準体重(kg)×25~30kcal)が
求められます。
肥満は体の中に脂肪組織が過剰になった状態を指します。体重が重いことは肥満と同義ではありませんが、一般的には身長と体重から計算されるBMI(bodymassindex)が指標として使われています。BMIは「体重(kg)÷身長(m)の二乗」で計算しますが、この値が22の時が病気のリスクが少ないという結果が得られています。そのため標準体重は身長(m)×身長(m)×22で計算されます(例えば身長160cmの人は1.6×1.6×22=56.32kg)。BMIが25以上ある場合が肥満とされます。またBMIによって下記のように肥満度が分類されます。
厳密には体重と肥満は必ずしも一致しないので、体脂肪率(体の中の脂肪の比率)を測定することもよく行われています。測定にはインピーダンス法という、電気の流れで体脂肪率を測定する手法がよく用いられます。体脂肪率による判定は以下の通りで、標準より高い場合が肥満となります。
男性10%未満女性20%未満低
男性10~20%女性20~30%標準
男性20~25%女性30~35%やや高い
男性25%以上女性35%以上高
肥満症
体の脂肪はエネルギーの貯蔵、体温の維持、体の組織や臓器の保護などの重要な役割を持っており、ある程度の量の脂肪は人間にとって必要です。しかしBMIが25以上になるまで脂肪が蓄積し、その結果健康に障害を来すようになるものが肥満症で、減量が必要になります。肥満症の診断には以下の合併症が基準として使われます。
肥満とがん
肥満症の項で脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患)が診断基準の一つであることをお示ししましたが、この状態が進むと肝硬変、そして肝臓がんの発生につながっていきます。この他にも胆道がん、大腸がん、乳がん、子宮内膜がんも肥満と関係するとされています。
内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)
脂肪には皮下脂肪と内臓脂肪がありますが、内臓脂肪の方が病気とより関係しているとされています。特に以下の基準を満たす場合は冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)や脳梗塞(脳血栓症・一過性脳虚血発作)のリスクが高く、「メタボリック症候群」と定義されています。
内臓脂肪蓄積の可能性(腹囲)
男性:85cm以上、女性:90cm以上、かつ、以下のうち2項目以上を満たす。
1高脂血症:中性脂肪値が150mg/dl以上、かつ/またはHDLコレステロールが40mg/dl未満
2高血圧:最高血圧130mmHg以上、かつ/または最低血圧85mmHg以上
3高血糖:空腹時血糖110mg/dl以上

東京大学名誉教授 山下直秀
